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ひよぴよ [小林めぐみ]

ひよ。
ひよ。
ヒヨ。
で、ニワトリ。
となって、ううーむ、何か頭にひっかかっている気がするう、と思っていたら。
それは、ハムテルん家のヒヨちゃんのことだった(チョビ、ミケ、スナネズミ、そして祖母)。

結局、マンガを読み倒して、笑い倒して(菱沼さんったら面白すぎる)、ああ楽しかった、ああ良かった、すっきりしたなあ、なんて思ってはみても、これから感想を書く本とは全く別の話なので、本当に全然全く関係はない。




というわけで、『ひよぴよ』、である。
しかしまあ、これまた、面白かった。のである。

やっぱり小林めぐみさんですから、文章が良くて、ところどころでうぉーってくらいに好きだなあ好みだなあと感じる。ぎりぎりと、驚くほどかっこよくて、やられる。

主人公壱の、喋り方が言葉遣いが、とんでもなく好き。
いや、行動も好き。
何でこんなに全然、外れない、んだろうか。小林さんの作品は。


とはいえ、ニワトリにしか見えない自称鳳凰(ひよ。壱が命名)、をそれも~コケとか語尾に必ず付けて喋りまくる自称鳳凰、を頭に乗っけてうろうろする主人公なんてのは、冷静に客観的に見てみれば、結構なかなりの間抜けでもあり。
というか、真っ直ぐな意味でのかっこよさ、は、ゼロであり。
・・・・・・うーんと、かわいさは多少、あるか。あるような・・・。
女の子たちも、まあ私にはとっても可愛くて良いんですけれども、けどもラノベっぽくな可愛さではないので、ええと。

つまりは、そんな目を引くような感じではないのですなー。
もう少し、世間にわかりやすい魅力の、話だったらなあなんて思いはしますが、けれど。でもそれじゃあ、他のなんだかんだな作品と変わんなくなるかーということもあり。
ま、そんなの関係なくなるくらい、読めばすごく面白いので。
面白さは読んでみりゃわかる、ってことで。

小林めぐみ
ひよぴよ




家に帰ってきては金を盗んでどこかへ去るというろくでなしの父親を持ち、そのおかげか異様な節約家に育ってしまった貧乏少年、三國壱。中学三年生。
なんとなあくどうしても気になって値切って買ったピンクのひよこ(ひよ、と壱は命名)が、なぜかその翌朝にはニワトリに!
それも、コケコケと人語を喋り自分は鳳凰だと言う。自分と対になる鳳凰を探していると。
そして、ニワトリには似つかわしくない孔雀色の尾羽根を持つひよのその尾羽根に、実は壱は見覚えがあったのだった。それをあの、ろくでなしの父親が持っていたのである。






すごく、ちゃんと、面白いんだけど、それがしっかり目立つような感じにはなってない作品ですねー。
はっきりいって、なんか地味な、感じが。
ううむ。
主人公も、女の子ふたりも、まあそこそこで。はっきり言えば地味だし。

けど、ぐぐぐぐぐ、と面白い。
しっかり、ちゃんと、面白い。

しかし、かといって、ものすごくわかりやすい対立構造だったり、対戦だったり、戦闘だったり、があるわけじゃなく。
派手な、恋、があるわけじゃあ、もなく。
ばーんとした、武器とか、技とか、そういうのも、なく。
ですから、またまた地味な、感じは。

けども、面白いんですけども。
いやいや、実は、ものすごくしっかりとしたものがちゃんとあったので。
登場人物たちも、きちんとやることはやって、すごくちゃんと踏み出してるし。
彼らは彼らなりに、ものすごく、とてもすごいことをやってのけてると、私は思う。
それもとても真摯に真面目に、瞬時に慎重に、ゆらゆらと真っ直ぐに。
とても、素晴らしく。
有り難く、なりゆきで。









少し。この話で、とっても好きな場面を。

ひよが、壱に、父親のことを悪く言うのは、自分のことを可哀相だと思っているし、まわりにもそう思って欲しいからだと言うところが。
とてつもなく、なんだかぐっときます。
壱にとっては、そんなこと思いもよらない考え、だっただろうし、でももしかしたらそう見えてたってことは自分実はそう思ってたってことかも!、ってことも絶対ほんの少しではあっても考えただろうし、いやいやそんなわけねええじゃああんよおおお、っていう感情の逆流的なものも沸き起こってきたはずだし、ぐるぐるぐちゃぐちゃで、ごおおおおおって流されて滅茶苦茶になって。
で。
そこで、ひよの首摑んで地面に叩きつけちゃうのも、良い(ちなみに、ひよはすかさず無事です)。
なんと、感情的な。
面白い。楽しい。
感情がついてこれなくて、でも行動! みたいなのが、面白い。
怒り、ってことにしちまえ!! 的な。
面白い。
それも、結構あっさりとした怒りなんですよねえ。そこが、壱の良いところですね。じとじと、は全然してなくて。
おそらく、無意識な感じで、上っ面の怒りだと、きちんとわかってるんですねえ。
つうか、結局、本当のところは、自分自身にその因があることがわかっているからなんでしょう。


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