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ひな菊の人生

まず。   やはり。
吉本さんの、は。
べったりと底からは、すくってくれるなあなどと。   真剣に思った。






表紙の。
き色、みたいだなあと思う。

そして、すこうし、楽しげだなあと。

淋しくて、かなしくて。そこにいる。
そんな話なんだけど。
下の方で、確実にメインではないところで、けれど確実に、かちゃりかちゃりと、している。
何かが、鳴る。
鳴っている。

何かと、何かが、ぶつかるような。
ての中に、握った、木の実が、走るたびに鳴る、おとのような。
つまりは、楽器のような。
けれど、決して洗練されてはいなくて、ほんとうにそこらにある何気ないもの。
なつに、拾った、貝殻が入っている、ちいさな缶の立てる、あの音のような。

すうごく、楽しくて、馬鹿みたいに楽しくて、けれど儚くて。
それらが、ひっそり。
隠れて、隠れたふりをして。
しっかりと、かちゃりかちゃり、鳴る。
鳴っている。
そして、火花みたいにやかましく、時折、光るのだ。小さくこじんまりと。

だから。
かなしいけど、そんなにかなしくない。
淋しいけど、そんなに淋しくない。
だから。
とても、とてもゆっくりと、けれど着実に変容していく。
似てはいて厳密には同じ部類なんだろうけど、少しだけど優しい性質のものに変わっている気がする。

光りは、ただ光るだけである。
けれど、光らないよりは光った方が良いに違いないと思う。
見ていて綺麗なのだし。

吉本ばなな
ひな菊の人生




ひな菊、という女子のこれまでの、なんというかうーんと。
彼女の人生(タイトルそのままですね)。





やっぱり、吉本さんの文章は、面白い。
いやいや、いつもはそんなことよりも、すごいすごいすごいすごい上手い上手い上手い上手い、と思うものなんだけど、この本は短いからか連載のものだったからか、すごいなあ上手いなあと思うよりも、何だか、普通にところどころの文章が面白かった。
力が抜けている感じがするからでしょうかねえ。どうだろう。

とはいえ、本当に変わらず、何度も、文の良さに感動してしまう。
それが、いくつも、そこにもここにもあるもんだから、ほんともう。
この作品では、それがなんだかさほど大切にされてる感じの使われ方ではなくて、ぽろり、って感じて出てくるのにも、少し面白さ、おかしみがあると思う。

にやり、の。
にや、でもなく。
に、という、一文字な、感じ。

結構さらりと、ほたほたとそこにいらっしゃっていて。
もっとありがたく受け取るべきかとも思うんだけど、いいからいいからそのまんまでかしこまらないで、とそんな風な感じ。
普段着でどうぞどうぞ、と。
だから、読みやすいかもしれませんね。普段、本を読むことのないひとでも。









本の、最後の。
箱の話が、大好きでした。

私の箱も、どこか宇宙の中に浮かんでいるのでしょうか?


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